ある日のこと。営業の集まる機会があり、夜、みんなで食事に出かけることにしました。そこでグラスを酌み交わしながら、会社について話し始めたのです。

「入社前、期待した当社の姿と、実際に働き始めて感じる姿とでは、大きなギャップがあります」
そう切り出したのは、入社2年目の社員でした。
「どういうギャップだ?」先輩が尋ねると、
「当社は、プレミアムブランドを扱う会社じゃないですか。なのに営業現場で話題になるのは、販売台数のことばかり。それでいいんですかね」。
彼の意見に、入社歴の浅い他の営業も同調。
「結局、目先の利益ばかりが大事ですか」。
しかし先輩は真っ向から反論しました。
「短期的利益の積み重ねが業績になり、会社の成長につながるんじゃないか」。
「利益追求が悪いとは言ってません。でも、そればかりになってませんか」
…議論は沸騰し、止む気配もありません。

普段なら率先して議論に応じる社長も、この時ばかりは口を挟まず、彼らの発言するに任せていました。 プレミアムブランドを担うにふさわしい存在となるため、自分達に何が必要か。自己中心的に仕事していていいのか…と、誰に命令されるでもなく、社員自身が考え、行動し始める。 これこそ社長の望む姿だったからです。(後略)